今回はちょっと手間のかかる水撮影のライティングレシピです。
こういった撮影は一般的に定常光では光量が弱いのでまともに撮影できません。
ライティングしてみようと最初は定常光を導入したとしても、行きつく先は動体撮影。
定常光に比べたらとっつきにくいところもあるかもしれませんが、最初だけなんで是非ストロボ導入を最初からお勧めします。
特に料理撮影におけるシズル感を出すには、ストロボのように瞬間を映し止める強い光量は必須。
何はともあれ、どうやって撮影してるのかをお見せします。
まずは最終吐出し作品を
さっそくですが、今回のゴールをお見せしておきますね。
完成品 |
水の波紋やしぶきがある程度止まって写ってますよね。
ホントはハイスピードシンクロで撮影した方がもっとビシッと止まるんですが、ストロボに負担かかるんであんまりやりません。
被写体をセットし、上からブドウをばらまくことで、このような躍動感のある写真が撮れるんですが、もちろん1takeでは無理です。
何回もブドウに頑張ってもらって絶妙なタイミングを抜き出します。
しかもこれ、1枚の写真ではないんですよ。
5枚ほどいいやつをピックアップしてPhotoShopに放り込み、マスクかけて処理します。
その辺の処理の説明は、いつかめんどくささを乗り越えることができた時にお見せしたいと思います。
どんなアクセサリー使うの?
まぁ定番ですね。
- グリッド
- スヌート(自作長め)
- 銀レフ
今回は銀レフにも入ってもらいます。
結局いつもグリッドやスヌート使ってますね。
ソフトボックスにもグリッド入れますから私自身そーとー直線的な光が好きみたい。
ポートレートの時くらいですかね。
フンワリ眠い感じの写真撮るのは。
そしてスヌートがいつもより長めなのは、もっとスポットでライティングしたかったため。
ではセッティングいってみます。
水撮影の3灯セッティング
いつもの撮影現場。
画角の外って日常感満載で作品との温度差にビックリされる方もいます。
でも重要なのは画角内なので問題なし。
ちなみにテーブル下にソフトボックスが隠れていますが、なんの仕事もしていなく、単に置き場に困っただけです。
構成としては、メインライトで全体の雰囲気を作って、アクセントを2灯入れるという感じ。
やはりどんな撮影でも3灯あるとほとんどの撮影できますね。
安心します。
と、今回は水撮影という事もあってアクリルケースにも登場してもらいます。
個人でこの形状持ってる方はあんまりいないと思いますが、水撮影のためだけに作ってもらいました。
1万しないくらいだっけなぁ、忘れたけど。
なので、水撮影の時は必ずと言っていいほど登場します。
その下に背景紙。
この状態で薄く水を張っておき、上からブドウを投下してやるわけです。
撮影のポイント
今回はやはりブドウの投下とシャッターのタイミング。
これに尽きます。
ほんと適当ですが、ブドウを鷲掴みにし、なんとなくボトボト落とす。
左手はシャッターボタン、右手はブドウ。
結構むずい。
さらにこういった動きもの撮影時はストロボのリサイクルタイムが重要です。
リサイクルタイムとはストロボが発光した時から次に発光するまでの待ち時間のこと。
ストロボって発光する時に溜め込んだ電気を一気に放出するので、空になった電気を充電する必要があります。
どれくらいの時間で電気満タンまで蓄えられるかというのがリサイクルタイム。
安いストロボだとリサイクルタイムが遅いので、当然それに応じてシャッターチャンスも少なくなります。
対応策はカメラのiso感度を上げて、なるべくストロボの光量を上げない事です。
ノイズは後で処理すればいいのでよほどシビアな作品でない限り問題なし。
たまに玄人さんが、
「そんなんじゃダメよ、ダメ。ここのディテールがぁ…」
なんてこと言ってきたりしますが、無視。
ピクセル単位でいちいち見ねーよ。
そこにこだわるようになったらその時はいいストロボに手を出しましょう。
1灯ずつで撮影してみる
では1灯ずつ撮影してみましょう。
まずはメインライトの右後方からのライティング。
右後方からのメインライト |
グリッドを装着してますが、斜め上から照射しているので影は濃いですが全体を照らしています。
これだけでもいんじゃね?
くらいの光量は出てます。
ただ、もう少し右手前から光が欲しいので今度はグリッド無しの低光量で1灯足します。
右手前のグリッド無し |
さらにケーキの中心部にもう1灯スポットを。
右上から長めのスヌートで1灯 |
で、出来上がったのが↓。
メインライトのみ(左)&全灯(右) |
すいません、今回段取り悪くてブドウが写ってるものと映ってないもので比較してるので分かりにくいかもしれませんが、ケーキの部分だけ見ればアクセントとして光が足されているのがわかると思います。
ただ、これも好みなので無きゃ無いでOKです。
LightRoomとPhotoShopで補正
補正というか合成も入ってますが、最初にお伝えしたとおり、5枚ほど同じような写真を撮って、ブドウや波紋の部分だけ合成してあります。
LRだけだと複数枚合成というのはできない?知らないだけかもしれませんが、合成というフェーズが入ってくるとどうしてもPSなくして作業できません。
どこまで詰めて作り上げるのかにもよりますが、
- 部分的な補正がたくさん必要
- 合成する必要がある
といった時はLRは基本的な色補正くらいにしておいて、PSでガッツリ追い込みます。
逆の場合はLRだけで終わらせます。
最後に全灯した撮って出しとLRとPSで補正したやつを載せておきます。
所々「ん?」てとこがありますが、練習兼ねての備忘録なんであんまり追い込んでないという言い訳をしておきますw
全灯撮って出し(左)&補正後(右) |
まとめ
水撮影は他の静物撮影よりも、さらにちゃんと準備することが重要です。
準備や片付けが他の撮影に比べてめんどうなのであまりやりたがる人がいません。
ですが、一度やってみると肉眼で捉えられないビックリするような写真も撮れたりするので楽しいですよ。
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